受験生に親がしてあげられること
2021年ももうすぐ終わりですね。
この1年は、今までで1番時の流れが早く感じられた一年でしたが、皆さんにとってはいかがでしたでしょうか?
さて、受験生にとっては、年末年始もなかなか心休まらないのではないかと思いますが、今回は、そんな受験生を持つ親が、子供にしてあげられることってどんなことがあるだろう?と考えてみたいと思います。
私はまだ子供たちが小さいので、自分が学生の頃を思い返したり、英語の生徒さんたちや周りの保護者さんたちのお話を踏まえた内容になります。
受験って、入試1発勝負ということもあり、どうしても色々な不安が付きまといますよね。
受験生本人は、当日の試験の出来がどうかという点に意識が集中しがちでも、親から見ると、その日までをどう過ごすか、健康状態はどうか、メンタルの保ち方はどうか、など、試験当日までの子どもの姿が逐一気になるところだと思います。
でも、親が不安を全面的に出して「〜大丈夫?」「もっとこういうやり方の方がいいんじゃない?」とあれこれ口を出してくると、なんだか、信頼されていない気持ちになったり、既に自分の中でも不安に感じている気持ちがもっと大きくなってしまったり・・・そして売り言葉に買い言葉で不毛な口喧嘩に発展・・・という話もよく耳にします。
中学受験までは、ある程度親のサポートが必要かもしれませんが、高校受験以降は、手放しが1番いいと思います。
自分だったらどんなサポート体制だったら嬉しいかな、と考えたら以下のような感じになりました。
1)日常的に受験以外の雑談をする
2)さりげなく食事の内容が、健康に気を使うもの(それについての言及はなし)
3)子供が進みたい方向に関する職業や関連する出来事に関する話(あくまでさりげなく)
4)とにかくネガティブな指摘を一切しない
5)一緒にいる時間に、子供から話しかける雰囲気・空気づくり
6)身の回りの勉強しやすい環境を整える(生活環境・勉強しやすい環境)
7)息抜きの提案
こんな感じですが、
あくまで、自分はマネージャーであり、スポンサーではないという視点が大事かなと思います。選手の進みたい方向、選手の努力、選手の意欲・・・選手自身の決断を尊重し、あれこれ指示することはしないスタンスですね。ただ、選手の進む道に沿った適切なサポートや声かけをする存在、それがいいマネージャーだと思います。
親がスポンサーになってしまった途端に、利害関係が発生し、家庭は塾や学校と同じようなピリピリした空気になり、子供が息抜きできる場所ではなくなってしまいます。
あと、よく話に聞くのが、親が自分が良いと思う安定の職業を頭の中で描いていて、その職業に向かって子供を勉強させ、それに従っている時のみ応援するパターンです。
これは単純に、親の知識不足が原因だと思うので、これからの時代は特に、親が常にアップデートしていかなければ、頓珍漢で時代錯誤なアドバイスを子供にしてしまう可能性がありますよね。
10年前、20年前の社会情勢をもとに今の子供達の将来像を描いても、まず上手くいかないということを親が知っておくべきだと思います。
例えば、受験状況ひとつとっても、今のように受験戦争が活発化した背景には少子高齢化が絡んでいたり、親の収入格差が絡んでいたりと、社会情勢の中の一部に受験もあって、それらによって状況は左右されているということ。
そういう全体像が見えることで、価値観が勉強を基準にしたものだけでなくなり、これからの社会で幸せに生きていくにはどういう生き方がいいのか、どんな人間性が社会から必要とされるのかなど、もっと広い視野を持って子どもの受験を捉えることができるのかなと思います。
ガミガミ小言は言わずに、でも放置するわけでもない、というのはなかなか難しいかもしれませんが、今まで取材してきた家庭のケースを思い起こしてみても、親の小言に従って動いた子は、自分の行動に責任が取れない人間のまま社会に出ていき挫折し、そこでもまた他人のせいにして引きこもったり心を病んだりするケースが多いように思います。
今は幼稚園や小学校の頃から、親が仕向けるままに塾に通っている子も多いですが、逆の視点で見ると、塾など勉強を提供される場以外では勉強したいという意欲を持って自ら学ぶというチャンスが与えられていないとも言えるのではないでしょうか。
子供が自分の意思を恐れずに親に言えることって、とっても大事なことだと思うのです。
その、自分の意思を伝える機会さえ与えられない子は、気づいたら誰かが敷いたレールの上を歩いていて、「何かをしたいという意欲」という、人間として生きる糧になる要素を奪われている可能性があります。
意欲がわかないということは、当然目標も持ちにくくなりますし、何のために学ぶのかということも分からなくなりますし、勉強そのものが苦痛でしかなくなってしまって、とにかく受験に受かることだけが全てだという思考になりがちで、そういう子供たちが増えた結果が、日本の10代の自殺率の高さにも表れ続けているように感じます。
文部科学省が2021年10月13日、「令和2年度(2020年度)児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」の結果を公開しています。小・中・高等学校から報告のあった自殺した児童生徒数は、前年度(2019年度)比98人増の415人で、調査開始以降最多となっています。
注目すべきは自殺した児童生徒が置かれていた状況(複数回答可)、つまり自殺の直接的な原意につながる状況です。1番多いのは「不明」で218名ですが、ついで、「家庭不和」53人、「精神障害」46人、「進路問題」44人、「父母等の叱責」33人、「友人関係(いじめを除く)」25人等となっています。
子供が自ら命を絶つ原因に、進路問題や父母などの叱責がこんなにも関わっているというのは、大人がもっと深刻に捉えるべき事項だと思います。
子どものうつ病も、大人とは違う形で増えていることも分かってきています
もちろん、親が自分を責めても何の解決にもなりませんので、いつも書いている通り、まず親自身が自分自身と向き合い、何を不安に感じていて子供にその不安をぶつけてしまっているのかを発見していくことがまず第一歩としてできることかなと思っています。
先に、親にどんなサポートをして欲しいか書きましたが、逆にこんなことはしないで欲しいということも書いておきたいと思います。
1)批判する
2)他人と比べる
3)放置する
4)恩をきせる発言(金銭面、親が犠牲にしていることなど)
5)成績がいい時だけ褒める
子供は、親のプライドを満たす道具ではありません。小さい頃から子供自身が嬉しいことよりも親の目線で「成功」と判断することを褒められてきた子は、自然と、親の期待に応えなければいけない、親をガッカリさせてはいけない、親の期待に沿えない自分はダメな人間なんだという思考に陥りやすくなります。
親はあくまでも、基本聞き役に徹して、子どもが日々の出来事や自分の考えについて話すのに耳を傾けること。子供が自分の意見を自分の言葉でアウトプットする練習は、家でさせてあげなくてはいけません。それができずに親が話す割合の方が多いと、親はなかなか子どものちょっとした異変に気づくことができにくいとも思います。
もし子どもの様子が変わったなと(イライラが増えたり、眠れないことが増えたり、攻撃的になったりなどが急に増えた場合など)感じた場合は、「大丈夫?」といきなり聞くのではなく、話しやすい環境やタイミングを見計らった上で、「最近はどんなところが勉強はかどるの〜?」とか「なんか集中におすすめの音楽ある?」とか、「大丈夫」という答えだけで終わらない、子どもの言葉を引き出すような質問をして話を進めていくのがいいかなと思います。
まとめると、受験は一つの通過点でしかないということ。子ども自身が目標を持って受験に向けて頑張っているのであれば、それをサポートして、応援してあげて、その一方で、日常的に受験というものの人生における割合の小ささについても話をして、受験の結果で人生が決まるわけではないという認識を共通認識として持っておくこと。
どんな結果でも、結果にとらわれず、その先にある子どもの人生を見てサポートし続けてあげること。
やっぱり、親自身がまず自分自身と向き合って、何を大切にして生きるのかという、全ての行動の根底になる軸を見つけていくことが、子どもの受験に付き合う上でも大切なのかなと思いました。
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