通知表について
もうすぐ2学期も終わり。
通知表をもらって帰ってくる日が近づいてきました。
2020年度から、通知表は相対評価から絶対評価に変わっています。
私たちが子供の頃は相対評価で評価されていましたが、当事者としては、Aをもらえる人数が決まっていたなんて、知らなかったのではないでしょうか。
子供心に気になっていたのは、AとかBの数ではなく、それに対する親の反応、親からの評価だったように思います。
1教科以外は全てAだったとして、
「すごいじゃん!」と言う親もいれば、「なんでオールAじゃないの?」と言う親もいるでしょう。
オールCでも、「伸びる可能性たくさん!」と思う親もいれば、「うちの子はダメだ・・・」と落胆する親もいます。
今回保護者に知ってほしいのは、通知表の付け方は、学校や先生によってばらつきがあり、子供を評価する材料としてはあまり気にしない方がいいということです。
まず、絶対評価に変わったとはいえ、学校によっては先生達にある程度の平等さを求め、先生によってAの数が多すぎたり少なすぎたりしないようにバランスをとっているところもあるようです。
先生達の中にも、学校からの指摘を避けるために無難な評価をすることを無意識のうちに意識してしまう人が少なからずいます。
ただ、各科目の3つの評価には優先順位があり、一番上の項目は「知識・技能」、二番目が「思考・判断・表現」、最後が「主体的に学習に取り組む態度」となっています。
それまでは、「興味・関心」「思考・判断」「技能」「知識」の4つの基準に基づき評価していたのが、2020年度からは、「知識・技能」「思考・判断・表現」「主体的に学習に取り組む態度」の3つに変更となりました。
「知識・技能」と「思考・判断・表現」については、純粋にテストの点数をもとに通知表作成ソフトで評価を出しているので、先生個人の主観よりも、より客観的な視点で評価されていると言えます。ですので、通知表を見るときは、一番上の項目「知識・技能」を見て子供の現状を見るのがよいと思います。
とは言え、A,B,Cや◎,◯,△の3つしかないと、Aを期待する親としては、Bがすごく劣っているように見えてしまうかもしれません。
でも、Aは割合的に90%以上の点数をとっている場合のみにつくことが多いので、非常にハードルが高いと言えます。ですので、一番上の項目はBが多くても、一喜一憂することはないと思います。
そして、最後の基準判断「主体的に学習に取り組む態度」って、評価がとても難しいと思いませんか?
「主体的」をどう見るかには、評価する側の主観がかなり関わってきますよね。
発表を多くする子を主体的と判断する先生もいれば、黙々とノートをびっしりとる子を主体的に学習に取り組んでいると評価する先生もいます。
文科省によると、この「主体的に学習に取り組む態度」と言うのは
「教科の学習を通じて、それを身につけるために粘り強く取り組み、学習を調整しようとする態度」
とありますが、一般的に「主体的な子ってどんな子?」と聞かれて、「粘り強く取り組む」とイメージする人はあまりいないのではないでしょうか。
先生も人間です。新しい基準に沿って評価しなくてはいけないと頭ではわかっていても、教師歴が長ければ長いほどそれまでの評価の仕方から切り替えて子供を見るというのは結構ハードルが高い至難の業に思えます。
このように、小学校での評価の仕方について親が知っておくことで、無駄に子供を批判したり、嫌味を言ったり、A,B,Cや◎,◯,△の一つ一つの数を数えて一喜一憂することを減らすことができるのではないでしょうか。
ただ、Cをつける割合は、Aよりもずっと低く、相当点数が悪い場合なので、もしCが頻繁についているのであれば、子供を怒るのではなく、「何か困りごとがあるのかな?」という視点で声をかけてあげるといいですね。
でも基本的には、小学校の通知表で子供を評価するということは、親はしなくていいのではないかというふうに私は考えています。
6年生でも、この世に生まれてまだ11,2年。自分の頭で考えて行動するようになってからだとまだ6,7年しか経っていません。
多くのことを身につけていくウォームアップの段階です。この段階では、いかにリラックスして心を整えることができるかに重きを置く方が、実際に走り出した時に成果が出やすくなると思います。
自分の子供がどんな教科に興味があって、どんなことが苦手なのかな?ということを知る道具の一つとして捉えるぐらいにしておいて、基本的には、引き続き、日々の子どもとの関わりを通してその子の良さを伸ばしてあげるといいですね。
子ども自身が、評価を見て「次はAが増えるように頑張るぞ〜!」と言っていれば、「そういうふうに感じる前向きな気持ちが素晴らしいね!」と素直に褒めてあげたいですね。
通知表の評価を全く気にしていないようであれば、「他人からの評価を過度に気にしないところが素晴らしい!」というのもその子のいいところなので、ぐちぐち嫌味を言うのはグッと堪えて、どんと構えましょう。
もしかすると、気にしてないと言うよりは、自分の可能性を知らないだけだったり、いい成績を取った時(物事を達成すること)の喜びや達成感を知らないだけかもしれません。
通知表を見たときは特に中身で一喜一憂するのではなく、それよりも子供がどんな様子や態度でその通知表を手渡したのか、そして子供自身がどんなコメントをするのかの方を見て、聞いてあげるといいですね。
子供にとって大切なのは、「親から自分のことを通知表を基準に評価されないこと」だと思います。
先生は、現状の子供を見て評価するしかありませんが、親は、自分の子供が小さい時からの成長を見ています。
最初からスペックが高い子もいれば、そうでない子もいます。最初からスペックが高い子がAを取るのにそんなに努力は要しませんが、低い子がAを取るのには、ものすごい努力を必要とした可能性があります。それなのに、親もAという評価しか見てくれないとすれば、子供にとってはとてもしんどいなぁと思います。
そして、小さな頃から励まされて育ってきた子がする小さな努力よりも、小さい時から劣等感を抱えて生きてきた子供がする同じような努力の方がエネルギーを必要とするのです。
人それぞれ、成長のスピードも、得意なことも、不得意なことも違って当たり前。
親からのポジティブな返答は、大きくなっても覚えていないと思いますが、ネガティブな反応はチクッとする心の傷として、大人になっても忘れずに残るものです。
どんなに頑張っても自分に満足できない、承認欲求の高い人間に育ってほしくなければ、今週通知表をもらってきたとき、嫌味は言わずに、子供の視点に立ってコメントするようにしてみてくださいね。
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