変わりゆく子育ての形

今も昔も、親の子に対する愛情など、変わらない事がある一方、親子を取り巻く環境はずーっと変わり続けています。

例えば、今の幼児以上子育て世代30代〜50代が子供だった頃を見ていきましょう。

現在50歳が10歳だった時、約40年前は、まだ昭和。父親が食卓につき、母親は台所に立っているのが当然の時代。子育てにおいても、専業主婦が多く、母親が子育ての負担を1人で背負っていることが圧倒的に多かったですよね。

それに加えて、ネットで買い物したり調べ物をしたりも出来ず、洗濯だって、二層式洗濯機が主流。抱っこ紐もなく、おんぶ紐は胸を圧迫するタイプのほぼただの紐。今みたいに両手が自由に使えて家事が出来る状況でもありません。とにかく、あらゆるものがマニュアルだったのですね。

では、現在の40歳が10歳だった頃、今から30年前はどうでしょう?

時は昭和から平和へと移り変わります。バブル崩壊が表面化してきて、失われた10年の始まりとも言われた時代の到来です。

ファミコンもだいぶ普及してきて、スーパーファミコンのソフトで有名なロールプレイングゲームが子供たちの間で大人気になりました。テレビもお笑いから歌番組まで、家族でチャンネル争いが起きることもしばしば。

塾に通う子供も増え始め、共働きの家庭も増えてきました。

コミュニケーションの道具に、携帯電話やPHS、ポケベルなどが加わり、親を介さない友人とのコミュニケーション手段も出てきましたね。

核家族化も進み、子供だけの時間も増えてきました。


では今の30歳が10歳だった頃、今から20年前はどうでしょう?

この頃になるともう、時代の流れはぐんと早くなり、昭和の考え方は古いと考える人たちも増えてきました。

この頃には、そろばん、学習塾以外のスイミングや英語などの習い事に通う子も多くなりましたね。

食卓にも欧米化の波が訪れ、朝食にパンやシリアルを食べる子供たちも普通に見られるようになりました。


40年前〜20年前を見ただけでも、20年間の間に大きな変化が起きていることが分かりますよね。


更にこの10年になると、それまでとはまた違った次元で目まぐるしく社会が変化してきました。

スマホやインターネットが急速に普及し、共働きの親も更に増え、高学歴競争も加速し、中高生の自殺率は増加の一途をたどります。

ここで注目しておきたい点は、この10年間、全ての自殺者の数は減少しているのにも関わらず、10代前半の自殺率は増加し続けているという点です。

2016年に289人だった小中高生の自殺数は、2020年には1.5倍以上の479人になっています。少子化は進んでいるにも関わらず、です。


これは海外諸国からも注目されていて、『異常』と見られていますが、日本人は変に慣れてしまっているようにも感じます。

原因が不明という内容が一番多いとはいえ、自殺の原因・動機では、「進路に関する悩み」55人、「学業不振」52人、「親子関係の不和」42人の順に多くなっていることは、見逃せない事実です。


更に注目すべきは、自死の原因の推移。家族間の不和を原因とした自死は、このコロナ禍で更に増加しています。

この中には明らかな虐待の環境にいる子も含まれますが、それ以外にも、「息が詰まるような環境、人間関係」の中で生活しなくてはいけない子供が家庭内で増えているとも言えます。


「子供の偏差値が〜」「将来のためには私立の方が〜」なんて言ってる場合じゃないんです。


大人たちが子供から目を背けて教育本を読み漁っているその最中で、もがき苦しみ、時には反発という形で、必死にメッセージを送っているのように思えてなりません。


時代と共にこんなに自由に、そしてモノ・情報共にすぐに手に入る時代になったのに、親たちは、30年前の価値観に囚われてはいないでしょうか?

子供にあれこれ言う前に、まず親が、自分をアップデートさせなくてはいけないのだと思います。

古いシステムのまま最新のアプリを使おうとしても、使えないのと同じで、古い価値観のまま子供にあれこれ指示を出しても、子供は親の思い通りには動かない、いや、動けなくて当たり前なのです。


たったの30〜40年間ですが、今の子育て世代の親たちが生きてきた中で、目まぐるしく時代は変化しました。親も、大変です。頭がパンパンになる時もあります。


でも、この時代の変化についていけない親たちが、今、子供たちを苦しめているのだとしたら、やはり、私たち親は、強い決意を持って、昔の価値観の自分と訣別し、子供目線に合わせて一緒に成長するべきだと思うのです。

それができて初めて、子供も親も、共に幸せな未来像を描き、それを現実のものとしていけるのだと思います。

Vision English

英語を学びながら、海外の子育て法についても学んでみませんか? 典型的な日本の家庭で育ち、圧に耐えられず米国の大学に編入し、卒業後は海外の様々なメディア通訳、コンサル業を経て今は3人育児中です。 海外生活での経験や、コーチングスキルを交えながら、ママが自分自身と向き合い、結果的に腑に落ちる状態に辿り着けるようサポートします。

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