Boundaries

母親の役割って、なんだと思いますか?

妊娠中に胎児を守ることはもちろん、出産後は、外の世界に出てきた生身の人間を守り、導く。大変な仕事ですよね。

あくまで経験上の話ですが、ある程度の経済能力がある家庭で育ったお母さんたちには、「真面目」な人が多いです。自分が成功体験を重ねている人ほど、子供にも、自分のような道を歩んで欲しい、と願い、また失敗体験が多い人は、自分の夢を子供に託します。

経済力があればあるほど、子供に「してあげられること」が表面上増えてきますよね。

習い事だったり、知育玩具や本を買い与えたり、体験学習をさせたり、お金を払えばさせられることが今の社会には溢れています。

自分が働いていないとしても、家のお金を投資しているわけですから、ある程度の結果を出さないと、ついつい子供に、

「もうちょっと真面目にやりなさい。」と言ってしまうかもしれません。

夏休みの宿題ひとつとってもそうです。自分が見て「あげている」のだから、言う通りに書きなさい(恥をかかないようにしなさい)(あなたのために言ってるのよ)!

と子供のことを思うばかりについついヒートアップ。

私は、これを、ギブアップ宣言しました。

昔大学の時に読んだ、"Boundaries"という本を引っ張り出してきて、今度は仕事の合間にオーディオブックで聞きました。(今聞くと、ちょっと、ん?と思う部分もありましたが。)

Boudary とは、『境界線』という意味です。

人間関係において、この境界線をうまく引けない時に、関係性が崩れてきたり、人を傷つけたり、傷ついたりします。

親子関係でいくと、自分の親から、この境界線を侵害されて育った人が、私の周りにも数人います。

親の価値観、人生観を押し付けられ、親の幸せ像を叶えるために生きてきた人たち。辛かったと思います。苦しかったと思います。

子供の頃のことでも、親の期待に沿う成績を取らなかった時の親の冷たい反応は、大人になっても忘れられないと思います。

そんな人たちが、この境界線について学んで、実践する時、やっと、解放されるのです。

これは、宗教でも魔法でもありません。ちょっとした、気づきであり、一つのネジです。

ただ、自分と親、自分と恋人、自分と伴侶、自分と子供、自分と義理親、自分と友達は、全くの別人格であり、期待に応えなくても良いということを、受け入れるだけです。

これが友達や義理親の場合は、割り切るのは比較的簡単でしょう。

でも、自分の親や好きな相手、子供の場合は、少し練習が必要です。

まず、親に抑圧され、親の幸せ実現のために生きてきて心が疲れ果てている人は、勇気を出して親との繋がりを一旦切ることをお勧めします。よっぽどのイカれた親じゃない限り、親は子供が何をしても、親で、子供を理解し、歩み寄ろうとします。自分から距離を置く決断をしたからと言って突き放すような親は、そもそも、あなたのことを本当に思っているのではなく、自分が可愛いのです。あなたを、支配下に置いておきたいのです。そんな親からは早く逃げましょう。(未成年の場合は、法的にそれが叶わないこともありますので、信頼できる大人に相談しましょう)。

あなたのことを本当に思っていて、ただ、前が見えなくなっているだけの場合は、一旦距離を置くことで、親も落ち着いて両者の関係性について見直すきっかけにもなります。

あなたは、親の所有物ではないのです。

同じように、私たちの子供もまた、私たちとは別人格であり、私たちがコントロールすべき存在ではありません。

いくらお金を積んで習い事をさせて技術を習得させても、良い成績が取れるようになっても、抑圧されて育った子が、健全な社会性を持って大人になるのを、そんなに見たことがありません。むしろ逆ならあちこちにいます。テレビでも最悪な形で報道されることにもなっています。

日本が、海外に比べて圧倒的に親族間の殺人が多いのは、これに関係していると私は考えています。もちろんアダルトチルドレンや共依存、などなど他の要因要素はたくさんあるでしょうが、親から子への抑圧は、ものすごい怒りと反発心を作り上げる機械がフル活動しているようなもので、そのタンクが満タンになった時、子供の心は爆発し、他者や自分の親を殺したり傷つけたりという行動に移ってしまいます。

親子間の殺傷の原因が、親の抑圧にある、と限定しているわけでは決してありません。精神疾患や、その他周りの環境や本人の性格など殺傷に至るには、ものすごく歪んだ人間関係の構築がその過程であったことは間違い無いでしょう。

でも今言っているのは、そこではなく、

『抑圧されて育つ子は健全な心で育つことができない。』

ということです。

抑圧された経験がある人なら、それがどんなに心に悲しみと怒りを抱かせる気かっけになることか、わかると思います。

夏休みも中盤に差し掛かり、お母さんたちは、『宿題を終わらせる』責任感に押され、子供に圧をかけ始めている頃かもしれません。

ここでお母さんも、一息つきましょう!

宿題をせずに学校で注意さるという体験を通してしか、やる気が出ない子もいます。

最初の声かけをし、わからなかったら聴きにおいで、と言えば、それでいいのだと思えるだけで、自分が楽になります。

無責任だと思いますか?

本当にそうでしょうか?

夏休みの宿題ごときで、お母さんの顔から笑顔が消え修羅のようになり、ガミガミガミガミ言われながら夏休みの思い出がせっかくの楽しいものから灰色になっていくほうが、双方にとって不幸では無いでしょうか。

そして、それが、教育だと思うのです。

しなくてはいけないことを無理やりさせるのは、教育ではありません。

調教です。

私たちの子供たちは、調教されるべき存在なのでしょうか。

調教されれば、動物でも、調教師の思い通りに動くことは体で覚えますが、できることはそれだけです。

人間には、もっともっと広い可能性が与えられていると思いませんか?

自分でいいことも間違いも体験しながら、次はこうしよう、今度からは時間を決めてみよう、先生に聞いてみよう、友達と一緒にやろう、など、様々な可能性を自ら発見し、道を切り開く頭を作ってあげる手助けをするのが、私たち母親の役目だと思うのです。

そのためには、まず、私たち母親が、自分の『境界線』をしっかり確認し、守り、自分を大切にし、穏やかで余裕のある心で、自然と笑顔でいることが、何よりも大切だと、日々、強く実感しています。

もちろんこれも、私が何回も何回も失敗した経験と、周りのお母さんたちの様子、今まで取材してきた方々のお話を自分なりに分析して辿り着いた私なりの答えであって、子育てに正解はないと思っています。

今日も、日本中のお母さんたちの笑顔が、子供達にも伝染していきますように💗




Vision English

英語を学びながら、海外の子育て法についても学んでみませんか? 典型的な日本の家庭で育ち、圧に耐えられず米国の大学に編入し、卒業後は海外の様々なメディア通訳、コンサル業を経て今は3人育児中です。 海外生活での経験や、コーチングスキルを交えながら、ママが自分自身と向き合い、結果的に腑に落ちる状態に辿り着けるようサポートします。

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